この記事は 南陽店 が取材しました。
〒999-2211 南陽市赤湯川尻3028-1
電話番号:0238-43-6711
https://ytj.jp/yorimichi/shop/230
果実由来の天然酵母が、ピッツァをもっと旨くする♪
食材、薪、石窯すべてが地産地消のピッツァリアがこちらです!
2023年6月16日 記事公開
祖父の自宅が近所ですので、以前から桜丸さんのことが気になっていました。天然酵母を使ったピザ生地なんて初耳ですし、また薪窯は南陽市産の石を使い、しかも自力でDIYしたなど取材ポイントも満載。それでは、“山形ピッツァ”の魅力に迫りたいと思います!
飽くなき探究心!!
制御難解な野生酵母を自在に操り、誕生した“山形ピッツァ”の味わいは?
今回の【名店セレクション】は、南陽市のピッツァリア「野生酵母Pizzeria桜丸」さんにお邪魔しました。春先の桜で有名な烏帽子山や、日本三大熊野のひとつである熊野大社からも近く、ドライブや観光がてらに訪れるのにもうってつけのお店ですが、目指して行かないと分からないような路地裏に位置しています。目印は赤い看板と、道路から見える巨大な石窯でしょうか。地元では知るひとぞ知るお店であり、噂を耳にした観光客をはじめ、県外から訪れるお客様も多いようです。推しは、天然酵母を使ったピッツァで、また地産地消をうたわれていますが、その由来はどこにあるのでしょう。オーナーの小林さんは丁寧に、取材に応じてくれました。
以前は首都圏で料理に携わる仕事をしていたという小林さんは、あるときUターンを志し、7年前に地元の南陽市に戻られたと言います。当時はピザ店を開こうという気持ちはなく、同じく料理に携わる仕事をされていました。しかし、地元に馴染むにつれ、傷物になった果物が廃棄されているという周囲の農家が抱える問題を知り、例えば酵母など有効な活用法はないかと考えたそうです。一方では烏帽子山にある日本でも有数の鳥居の素材が、耐熱性に優れた凝灰岩・中川石であることを知り、ピザ窯にぴったりだと思ったんだとか。そして同時に山地が多い山形では、薪を容易に手配できることも知りました。そんな経験を繰り返すうちに、地元の資源を生かすためにピザ店を作ろうと思い立ったのだそうです。つまりはピザ作りに必要な全てが、南陽市に揃っていたのですね。
かつて酵母菌のことを学んだけど、試したことなど一度もない。ピザ作りも勉強したけど、石窯なんて作ったことがない。熱源となる薪はきちんと確保できるのだろうか? でも、天然酵母でピザ生地を作ったら一体どんな味になるのだろう? 分からない不安より好奇心が上回り、いつしか小林さんはピザ開店のために動き出しました。そして、同市中川地区の元採掘場に放置されていた中川石を運ぶところからはじめ、高さ3メートルほどの大きな石窯を自作。2020年の5月、ようやく桜丸はオープンに漕ぎ着けました。「コロナ禍とほぼ同時のスタート。とても大変でしたが、石窯がピッツァを焼けと言っているように感じて」。当時の世の中の混乱とは別に、小林さんはお店の将来に希望を感じ取っていたようです。
「しなくていいなら、イースト菌を使いたいです。それほど天然酵母のピザ生地の扱いは難しいから」。困難ながら選んだ自身のピザ作りを続けるのには、やはり廃棄果樹へのもったいないという思いがあるようです。「使うのは南陽市全体から出る廃棄作物の1%にも満たないかも知れないけど、使えるものは使わないとすごくもったいないと思うのです」。試行錯誤を続けた結果、現在は酵母自体を継ぎ足すというスタイルに。以来、生地作りも安定し、現在のところ完成形の生地を提供できるようになったそう。「酵母菌は生きています。日々状態が違いますが、それを見極めながら付き合うことで、驚くほどの味わいを引き出してくれます」。小林さんは料理人であり、研究者。今もなお道半ばなのだと話してくれました。
小林さんのもったいないという思いは、地域の生産者にも伝播します。「南陽のあるワイナリーさんから、意外とおいしいからとワイン用ブドウの搾かすの使用を勧められました」。ピザ窯でシロップ状に煮詰めると、カリっとナッツのような食感、また自然な甘味が感じられたそうです。これはトッピングに使えると生まれたのがヴィナッチャ(イタリア語で搾汁果皮)というここ桜丸だけのピッツァ。以前からおかひじきや山菜、冬場は雪菜など、地場野菜を取り入れていたこともあり、それはお店を代表するピッツァのひとつとなったそうです。大きなことはできないが、廃棄される食材でもこんなにおいしくなることを知ってもらいたいと小林さんは続けます。
全てが地元の資源で作るピッツァのことを、小林さんは山形ピッツァと呼んでいます。ここでしか食べられないものを提供する、また、ピザ釜、薪、食材を一貫して、大きな意味での地産地消を実現したいという思いは、桜丸というお店にカタチを変えて、多くの人においしい喜びを与えてくれています。明日は南陽市にドライブ行こうか? そんなときはぜひこちらを思い出しください。
3人のお子さんの子育て中というオーナー。子どもさんにも優しい店を目指し、お子さん(ちびっこスタッフ)たちからの温かなメッセージを店内に配置。子連れでも安心な店内には、子ども用の遊具も常備され、安心感があります。
はじめての食体験と、SDGsに沿った地域貢献への満足感で、心も身体も満たされるはず。南陽産の自然派ワインも揃っているようなので、ハンドルキーパーがいらっしゃるなら、ぜひそちらもお試しください。
MENU
(内容は2023年6月現在のものです)
シャキシャキとした歯ざわりがたまらない、桜丸を代表するピッツァ。地場野菜と合わせたそれは、個性的な味わいとして県外客からのリピートが多いそう。
数量限定セットメニュー お好みのピッツァに+350円(サラダとスープ)
季節のスープとサラダが付くセットメニュー。取材当日は10種の野菜を使ったスープと、蕪を主体としたサラダとマルゲリータを合わせました。
この日のドルチェは、軽い口当たりのパンナコッタと、自家製の干し柿を使ったカッサータ。見た目も華やかで、もちろん味も二重丸でした!
カリカリのナッツの食感がたまらないデザートピッツァ。ピザ生地に染みたチョコレートの味わいと、ナッツの香ばしさに酔いしれてください。
お店へのアクセス
野生酵母Pizzeria 桜丸
〒999-2211 南陽市赤湯川尻3028-1
電話番号:0238-43-6711
https://ytj.jp/yorimichi/shop/230
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